メイキング・オブ「十番の夜」! 第2弾 パート4

フットボールライフ・ゼロvol.2の「十番の夜」の未収録部分を大公開! 【パート4】

※今回からは「フットボールライフ・ゼロ vol.2」の誌面ではお伝えすることができなかった「十番の夜」の未収録部分を公開しちゃいます!

未収録コーナー


※ファンにとって自分が応援しているチームとは一体どういう存在なのか? 今回は、その人の人生をも左右してしまう、ファンとチームのつながりについて話が進んでいきます。


登場人物;
=えのきどいちろう  =海江田哲朗  =中山淳(編集長)  =後藤伸二(本誌スタッフ)



 えのきどさん、最近アイスホッケーの方はどうですか、日光アイスバックス。

 アイスバックス、大変ですよ。

 テレビで西武の廃部ことを見たりしたんですけど、ヴェルディとは大変のレベルが違いますよね。

 でも、サッカー同様、アイスホッケーも試合を見たら本当に面白いですよね。

 そうそう。去年横浜で初めて見て以来、NHLの試合もテレビでたまに見るようになりましたもん。それを見ずしてアイスバックスと比較できないだろっていうところもあって。

 でも今はアイスホッケーも厳しいときだよね。例えば王子製紙は運営費を半分にするんじゃないかっていう話になってたりとかさ。海江田さんが「ヴェルディがなくなったら知り合いのアイツはどうするんだろう?」って言ってましたけど、差し迫っているのはアイスホッケー界でも一緒なんです。

プロ野球の場合だと、(チームが消滅した)近鉄の応援団だったヤツは、やっぱり楽天の応援には行けないわけです。NPBを憎んでいるからね(笑)。どこにも行けないわけですよ。ファイターズファンでも北海道日本ハムを否定する人もいたりしますから。要するに北海道に移転する前のファイターズと今のファイターズは別のチームだっていう立場に立つ人がいるわけで。

これはアイデンティティ・クライシスですよ。つまり三途の川を越えるときに、「お前は何者だ」と閻魔様の前に立ったときに「会社員です」とか「サッカー雑誌の編集者です」っていう人もいれば、「俺はヴェルディのサポーターです」って言う人もいるわけですよ。
これは『サッカー茶柱観測所』に書いたんですけど、僕の知ってるFC東京のサポーターが急死しちゃってさ。

 立川市の方でしたよね。

 そう。その人の葬式に行ったら、そこにはFC東京のサポーターとしか言いようがない青赤に黒が入っている3色のリボンがついてて。で、いよいよ出棺ですっていうときに、残っている人がみんなで「ユルネバ」を歌うわけですよ。つまりこの人は三途の川を渡る段階で、「お前は何者だ」って聞かれたら、「私は会社員です」じゃなくて、「FC東京のサポーターです」って答えるんだよね。

だからその人はサポーターとして、それ中心の生き方をする人として死を迎えた日本のJリーグファンの中でも初めての一人になっちゃったんだなって。ああ、こういうこともあるんだなって、そのときにすごく思ったんですけどね。

Jリーグの場合だと親子でサポーターっていうこともあるよね。
それでも子どもはまだ小っちゃいと思うんですけど、スペインだとそれこそ「おじいちゃんの代からエスパニョールのサポーターですよ」みたいなことがあるわけじゃないですか。それもバルサじゃなくて。

もうどこを切っても俺の家はそうなんだ、みたいなさ。そういうのって海外だと成り立つし、海外だから三途の川は渡らないかもしれないけど、何かその、神に召されるときにね、自分はそうやって生きてきたんだっていうさ。自分の生きること、生の中心にサッカーが存在することってあると思うんです。

ただね、ファイターズが北海道に移転するときに、いろんな人と話をしたんですけどね。(北海道日本ハムの前身の)東映フライヤーズのファンだったっていう人と話したんだけど、みんな早死にしたよって言ってた、酒で。だから球団がなくなるってことはそれほど大きなことなんだよね。とは言っても球団史としては連続していたわけで、まだ東京にフランチャイズがあったわけだし。

 カミさんを失ったみたいなところがあるのかな。

 だから球団がなくなるってやっぱりすごい出来事なんですよ。自分はそういうつもりで生きていたっていう人にとって、球団がなくなるっていうことは。

あとよく考えるのはさ、事件を起こしたサポーターがスタジアムの出入り禁止をくらうことがあるでしょ。

 以前、味スタで灰皿を投げた人がいたじゃないですか。

 確かその人って出入り禁止になりましたよね?

 そうです。その後その人は地元に帰ったらしいですからね。そういう話を聞くといろいろ考えちゃいますよね。

 考えちゃいますよね。

 感情ときれいに折り合いがつかないんですよね、それって。

 そうなんですよね。いなくなるわけにもいかないしさ。本当にきついと思いますね。しょうがないんだけどさ。そんなことしなきゃいいんだけどさ。

でも、しなきゃいいんだけどさって簡単に言うのは、僕みたいにオジサンになってからと言うか、いい歳を取ると人はときにとんでもないことをするっていうことをいろんなところで見てくるから。否応なくとんでもないことをしちゃうんですよ、人って。

僕も若い頃は、酷いことをした人を見たときには、人間とは思えないと思いましたよ。酷い事件を見ればこれは人間のすることとは思えない、と。

でも歳を重ねると、人間だからやるんじゃないかって思うよね。人はうっかりするととんでもないことをする。

あんなに約束したのに裏切ったり、嘘をついたりもするし。そんなことをやっぱりしちゃうんですよね。でもその後も生きる。まあ死んじゃう場合もあるかもしれないけど、基本的には生きる。終わりなき日常を生きるんですよ。

 きついっすね・・・・・・。

 何だかしんみりしちゃったりして(笑)。



≪第2弾 パート4 了≫

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